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2021-09-10

タイ、日系自動車の危機 [承] GWMの販売戦略




前の記事「GWMの奇襲」をアップしたところ、自動車業界に詳しい知人から「なっ・・・ハイブリッドって!?GWMはEVじゃなかったの?」と確認が入りました。

「うん、タイ第1号は、まさかのハイブリッド車だった・・・」

つまり、GWM(長城汽車)のタイ進出スピードから投入車種まで、日系自動車業界にとっては、なにからなにまで奇襲である。そして、その販売戦略こそが最大の奇襲であり、ド肝を抜くゲリラ作戦が展開されているので、早めに紹介しておこう。



GWMセントラルバンナー2階

GWM販売戦略の大きな特徴は、ショールームがデパートの中、この一言に尽きる。

昭和のオッサンの頭では、車のショールームは街道沿いにあるものだが、ここはタイ、そしてコロナ時代、車のショールームはデパートの中が良いという戦略なのだ。

もともとタイでは、Big-C、テスコロータス、タイ・ワサドゥといった大型スーパーやホームセンターのロビーで車を展示販売するのが当たり前で、もちろんデパートのロビーでも不定期的に車の展示会があり、実際に目にしたことのある読者も多いだろう。

そして、こういったロビーで車を販売しているのは、近隣・遠方の自動車ディーラーのスタッフである。つまり、街道沿いのショールームにいるより、デパートのロビーに出張した方がよく売れるから、という理由だ。

日曜・祝日はディーラー休みだし、渋滞しながらディーラーに出かけて往復1日潰すよりは家族にサービスしてたい、といったタイならではのデータだろう。




GWMシーコンスクエア2階

それであれば、GWMがいきなりデパートにショールームを常設したのは非常に合理的である。

一方、修理・メンテナンスのサービスセンターは、土地代が安い郊外に巨大なのをボーンと置いといてくれれば、消費者としてはその方がアクセスしやすく行き帰り渋滞しないし、規模・人数が大きければメカニックの順番待ちも短くなり、維持管理コスト削減によりサービス代も安上りになりそうで大変ありがたい。

昭和のオッサンの頭では、今日まで思い付かなかった発想である。

しかし、GWMがターゲットとするタイ中産階級層の消費者群像はどうだろうか? この戦略でドンピシャなのだろうか? 現地採用は、これが実はドンピシャだとにらんでいる。





なぜならば、ひと昔前、タイ若者文化の発信地といわれたサイアムスクエアに「パラゴン」という高級デパートがオープンし、そのデパートの中には、ロールスロイス・ランボルギーニ・マセラッティなど高級自動車のショールームがあった。(今でもあるのかな?)

当時まだ若者や子供だったタイ中産階級消費者たちは、いつかここでこのかっこいい車を買うんだという夢を見た。だが大人になった今、ごく普通の社会人として家族持ちになり、デパートで車なんか買えない身分だってことを思い知らされる。

ところが、そんな夢をあきらめた大人たちに、GWMがもう一度あの頃の夢を思い出させてくれるのだ・・・それも手の届く夢として。


昭和のオッサンだって、子供のころ宇宙でガンダム乗りたかったんじゃないか?

 でも、もし今「ザクでよければ裏の駐車場に停めてあるから」っていわれたら?

これこそが、GWM販売戦略の本質である。


いまの日系自動車にガンダムはあるのか?


(タイ、日系自動車の危機 [転]編につづく)




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